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ミラノ・スカラ座「リゴレット」(NHKホール)鑑賞
                                                    川村知一

はじめに
9月9日、ミラノ・スカラ座日本公演<ヴェルディ生誕200年祭>:「リゴレット」全3幕を鑑賞した。


イタリア・オペラの総本山スカラ座の日本公演は450人以上を引き連れて、NHKホールでは「リゴレット」、東京文化会館では「ファルスタッフ」を上演する。

「リゴレット」初日(9月9日)の出演者は、

指揮:グスターボ・ドゥダメル

1981年ベネズエラ生まれ、新しい時代を担う指揮者として、チケットの入手が難しい1人とされる。



マントヴァ侯爵:フランチェスコ・デムーロ(テノール)

1978年イタリア生まれ、パヴァロッティ亡き後、本格的テノールと評され、マントヴァ侯爵役は代表的なレパートリーとなっている。



リゴレット:レオ・ヌッチ(バリトン)

1942年イタリア生まれ、リゴレット役は1973年に初めて歌って以来450回以上歌っている。



ジルダ:エレーナ・モシュク(ソプラノ)

1964年ルーマニア生まれ、超絶技巧的コロラトゥーラのトップ・ソプラノとして人気を博している。



スパラフチーレ:アレクサンドル・ツィムバリュク(バス)

1976年ウクライナ生まれ、“シャリアピンの再来”と言われる豊かな声量と広い音域を持つ注目の若手バス。



マッダレーナ:ケテワン・ケモクリーゼ(メゾ・ソプラノ)

グルジア生まれ、2011年のスカラ座「リゴレット」のマッダレーナ役は絶賛を得た。期待される実力派新進美人メゾ・ソプラノ。



ミラノ・スカラ座管弦楽団
ミラノ・スカラ座合唱団
ミラノ・スカラ座バレエ団

備考:当日の公演は、10月28日(月)0:00〜4:00AM、BSプレミアムで放送されます。

感想
1999年、ツアーでミラノを訪れたが、スカラ座は建物を見ただけで、内部やオペラ鑑賞はできなかった。



今回はNHKホールではあるが、本場イタリア・オペラの素晴らしさに驚きながら鑑賞した。
オーケストラの響きは軽快で歯切れよく、テノール、バリトン、バス、ソプラノ、メゾ・ソプラノと幅広いパートで、すばらしいソロ、デュエットを、音響効果に優れるNHKホールで堪能できた。

中でも、テノールのマントヴァ侯爵役を歌うデムーロは35才、“女心の歌”は、CDで聞いた若い頃のパヴァロッティの声の張りを感じた。

ソプラノのジルダ役を歌うエレーナ・モシュクは49才、中肉・中背で、イタリア語の超高音は柔らかい美声で、人間の高音発声限界と思われ“すごい!のひとこと”であった。

余談1;「女心の歌」
私が中学2年生の時(昭和30年)、今から思うと“何だったのか?”と思い出すことがある。都心の公立中学校であったが、太ったオペラ歌手のような女性教師が、音楽の授業で“女心の歌”を原語(カタカナのイタリア語)で何時間か教え、合唱したり、ソロで歌わせたりした。
おかげで60年近く経った今でも、軽快な歌詞が頭から離れない。

女心の歌(風の中の羽のように)   日本語歌詞

ラ ドンナ エム モービレ     風の中の
クワル ピュウマ アル ヴェント  羽のように
ムータ ダッチェント        いつも変わる
エッ ディ ペンスィエーロ     女ごころ
―――

余談2.イタリア・オペラを鑑賞して
帰り道、NHKホールから原宿駅まで、ようやく涼しい風の吹く中、10分間ほど話をしながら散歩した。妻は学生時代、ローマのカラカラ浴場で野外オペラ鑑賞し、「ヴェルディの『アイーダ』で、終演が午前0時過ぎになって驚いた、翌日は早朝からバスで太陽道路を走ってナポリ、ポンペイ観光で、オペラは気もそぞろで勿体ない事をした。」と後悔(リグレット)していた。

平成25年9月13日