“益荒男家政婦”奮戦記(その3)
谷口 啓治
 1月18日、朝から雪が降った。
気象庁が発表していた予報で覚悟はできていて、玄関わきのベランダの中に除雪用の用具や着衣、長靴などを取りそろえておいたので、夜明けと同時に雪かきを開始。
東南の角地に位置するので、両側の6m.道路を相手にするわけであるが、年齢の事を考慮?して自宅側の幅1m.強を一次的に処理し、郵便屋さんや新聞配達の人の便宜を図っておいた。
一通り片付けた頃に近所のミナサンが起きだしてきて、三々五々の雪かき大会となったが、亭主はお勤めで家政婦が奮闘されていた。

 昭和35か6年の頃の操業開始日、小山の鋳物工場の正門(未だ管棒工場は無く、小さい門構えであった)の内側の掲示板に横長の和紙に従業員の名を記した告示がされた。滅多に積もらない雪が積もっていて、掲示板を照らしていたのを覚えている。
不採算であった鋳物工場のリストラのひとつ(注)であり、高卒の人を中学卒に見做して再採用する、そのことに応じた人の氏名を示したものであった。これを契機に多くの若人が去って行ったのである。残った人も、後々“不遇者”として長く苦しんだ。
  
(注)鋳物工場のリストラとしては、“7・8問題”と言われた勤務時間を他所比1時間延ばして給与は不変で8時間働く。などと言うものや、筆者仮称“鋳物工場夏の陣”なる、昭和55年の部門縮少などがある。

雪が降ると必ず思い出す我が青春の一頁である。

  ところで、我が家の南側の屋並みは東一戸を置いて、二、三戸目が空き家になっていてその北側道路の雪は、いつも積もったままなのである。
二日目の朝、見かねて除雪を試みたが自家用車で踏み固められていてAl.製のスコップの歯が立たない。銀座四丁目がこのありさま故、近所のクルマは遠回りしていた。

 閑話・・

1、 雪にもマケズ
 「マグロの山かけが食べたい」とのリクエストあり、雪は大丈夫ヤロカと案じながらスーパーへ買い出しに 行く。マグロは冊(さく)で買った方がイイヨ、との託宣であったが「沖縄産のビンチョウ」の冊しかない。仕方がないので、フツーのマグロの切り落としを買って帰り、山芋のとろろをぶっかけて食す。まーまーグーなり。

2、 年賀状物語り
 どうせ行くなら、と郵便局へ回り年賀状の賞品を貰って来た。切手シート3枚であるが、内二枚は失敗作からのもの。70枚くらい作製するうちに、何と24枚も失敗した。同じ宛名に複数枚印刷したのが最大の原因で、プリンターのセットをAさんあてにしたまま複数印刷したり、Bさんあてを続けて5枚・・なんて事であった。失敗作は、一枚当たり5円の手数料を払って普通ハガキに交換してもらったが、こんなに沢山失敗したのは初めてであり歳を感ず。

3、 後記高齢者講習会参加の誘い
 誕生日が6月21日なのに自動車運転免許更新用の準備を急かされている。
2月21日から7月21日までに自教などで受講せよ、と言うもの。
痴呆性のチェックや実車運転点検があり、前回・H25年に受けた時は物覚えの悪さを思い知らされた上、実車運転では「仮りに設定された踏切り」を見落とすなんてチョンボをやった。
何よりも昨今は、日常運転していて“不確かさ”を実感するようになったので、気後れしているのだが。

 (また、又余談に流れて・・)

4、 アタマを使え
本店を追われて、子会社で働いた。
小規模企業の良いところは「家族的」であることが一つであるが、「親方日の丸」式に流れがちで、自分でこうしようと言う気概に欠けることは欠陥である。
何かをやってもらう時に、右手の人差指を耳の上につきたてて(アタマヲツカエ!)と言ったものである。
6人配置の作業組を変更して4人組にしてもらったこともあったが、機械や装置の汚れを拭くウエスを、買って来たままの大判サイズで使わずに、半分に割いて使ってもらう知恵が欲しかったが、実現しなかった。
 写真Aに洗濯ものを干している様子を示すが、ワイヤーハンガーの向きに注意してほしい。フックが一定方向を向いているが、こうすれば数個をまとめて握りハンガーごと「エイッ」と外せるのである。
「家事が忙しいから手伝え」、と亭主に懇願?する前に“アタマを使え”と言いたい。
 
写真 A;
天候不順につき室内干し中
   ハンガーのフックの向きが一定であることにご注意あれ!

5、 年末年始の大失敗

餅つきを失敗

  H4年に買い込んだ家庭用餅つき機を引っ張り出して恐る恐る挑戦。
「取説」とカミサンの口頭による指導が頼りの作業であったが、(米を)蒸す→(餅に)つくの工程中、つくことが不能であり点検したところ釜の中心にある回転子がモーターごと回っていないことが分かった。
   年末のことゆえメーカー修理を諦めて“出来あい品”の鏡餅をあてがった。
@ (何回にも分けて食べたが)二升程あった蒸し米の処分には閉口した
A 年初のメーカー診断では、モーター制御用基板が壊れているが、補用品無く、“不燃ごみ”となった
    
階段から落下して顔面を打った。
   極めて不名誉な事なので詳述しないが・・・


写真 B 回転すし屋での忘年会
 大上段に振りかぶった標題とは程遠い“粗稿”のお終いにあたり、我ら一族の忘年会の様子をご紹介しておく。

 総勢は4家族15名であるが、写っているのは極く一部、しかも急遽設営したので、二女の長女がアルバイトしている「回転すし屋」でと言った按配で全く冴えない。

写真Bの左の女子は、長女の長女で大3の教師タマゴ、アルバイターは大1・薬学部学生、その下のチビは三女の長女・小1・・などである。

男子孫4人は写真右の陰で寿司パクついていた。

 全員元気な一年を過ごしてほしい、と念ずるばかり也り。
          
  追記;どうやら益荒男・・も終わりに近ずいた。類似の会員の方のご健闘をお祈りする。
H28年 大寒の夜に