55年ぶりの松葉ガニと時代の変化
川村 知一
はじめに
年末にネット通販でオーダーし、55年ぶりに松葉ガニを食べ、時代の変化を感じた。

松葉ガニは庶民の食べ物の時代
私が中学生であった昭和30年代初頭、毎年冬になると鳥取に住む知人が、リンゴ箱のような木箱に入った松葉ガニ(活)を10杯くらい、(新幹線など無い時代)鉄道便で送ってくれた。
松葉ガニは今より大量に獲れ、流通や輸送インフラの未発達もあって、現地では庶民の食べ物であったと思われる。

タラバガニよりズワイガニ
昭和54年、シアトルの漁港にあるレストランでアメリカンサイズのタラバガニをご馳走になった時、
ウェイターが「本日は生憎タラバガニしかありません。」のセリフが耳に付いた。
欧米では、日本人が好むタラバガニより、ズワイガニの方が高級に聞こえた。

カニの国際入札
5年ほど前の新聞に、「カニの国際入札で、日本の商社は海外の巨大資本に負けて落札できず、
高級なカニは全て海外に持って行かれ、残りの低級なカニしか日本に入って来ない」、記事を見た。

ネット通販
カニにはあまり拘りを持たない私だが、数えてみると、かつて松葉ガニを食べてから55年の時が経っていた。もう一度食べてみようと思い、ネット通販で検索した。
12月下旬、何とか年内に間に合いそうなので、試しに「浜茹で中サイズ700g1杯」をオーダーした。(価格は大1枚+代引き1,000円)

55年ぶりの松葉ガニ
届いた冷蔵宅急便の発砲スチロールの箱を見ると、送り主は姫路市“のん気な魚屋”と、心配に
なるような名前の業者で、慎重に箱を開けると、(写真1)艶があり見栄えのする立派な松葉ガニが1杯入っていて、ホッとした。
写真1(全体)

写真1(アップ)

カニの爪にはタグ(写真2)が付いていて、“境港水揚 田後(たじり)漁協・第二大洋丸”とあった。
                                写真2-1                                                                写真2-2

早速食べて見ると、“浜茹で直送”だけあって、カニ肉が旨かったしミソも甘かった。
傍らの人も「美味しい!」と呟いていたので、品質は確かのようだが、僅か1杯の松葉ガニを2人でささやかに味わった。

相変わらず新年早々
  
“ささやかに松葉ガニ食べにこやかに”
   ↓
  “松葉ガニお足がなくては食べられん”
   ↓
  “カニ食えば金がなくなり夢のあと”   松戸馬笑
 平成26年1月6日