第62回札幌雪祭り
北島 進  
   恒例の札幌雪祭りが2月7日から13日まで241万6千人の観客を迎えて盛大に開催された。立春が過ぎても日中マイナス5,6度、しかし風もなく晴天が続いて、穏やかな天候に恵まれた。
   2−4坪ぐらいの広さに個人や外国の団体が挑戦し、斉藤祐樹選手の似顔絵やお国柄を強調した南洋の雪像が雪国にはユニークな印象を与えていた。
   しかし何といっても見応えのある作品は真駒内駐屯陸上自衛隊のものである。
   それは規模、時間、労力、費用が圧倒的に多く、そして蓄積された高度な技術を駆使されるのだから、年々その表現力は精緻を極めるのである。
   これらの中から、三点をご紹介しよう。

1. 観光王国宣言!北海道
   
   北海道経済は農業水産、観光、特に北海道開発局による公共事業に大きく依存して来たが、近年大幅な公共事業の縮小で、経済の建て直しのために北海道の自然をもっと宣伝して観光客を誘致しようというのが、このテーマになった。
   最近は東南アジア特に中国、台湾からの観光客が急増しているので、北京の紫禁城、万里の長城、そして北海道のトレードマーク赤レンガの道庁、動物代表キタキツネ、シマフクロウを配置した。王朝制度の封建的なシンボルと自由な開拓精神“青年よ、大志を抱け”のシンボル 赤レンガ道庁を並べたのは、北海道の解放的で牧歌的な風土が理解されよう。
2. ライオンキング

   昨年札幌にお目見えした劇団四季が近々開催するデズニーのミユージカル“ライオンキング”をテーマにした雪像である。
   このミユージカルは誇りの大地で知られるアフリカサバンナの不思議な土地で繰り広げるライオンの王子シンバの冒険と成長の物語である。
   サークル オブ ライフ(生命の連環)という深遠なテーマの中で、自然の営み、親子の絆、愛と成長を綴る作品である。
   この雪像はライオン王のシンボルを中心に、その周りを大人気のキャラクター、ミーアキャットの“テイモン”やイボイノシシの“プンバア”、そして王の執事であるサイチョウ(大きな嘴の鳥)“ザズ”、自慢の岩などが囲んでいる。
 
3. 祈年殿
 
   来年は日本と中華人民共和国の国交正常化40周年を迎えるので、北京市にある世界文化遺産の天檀公園に建つ祈年殿(きねんでん)を製作した。
   天檀は中国の皇帝が天を祀り穀物の豊作を祈った場所で、北京市街南部に位置し、広さは273ヘクタールある。1918年天檀公園として一般に公開され、世界最大の祭天建築群として、1998年ユネスコにより世界文化遺産に登録された。
   祈年殿は円形の傘を開いたような独特な形をしている。屋根は三層から成っており、一番上の屋根には金色の宝珠が取り付けられて皇帝の権威を象徴し、祈年殿内には皇帝自らその年の五穀豊穣と国家安泰を祈った屋内祭場である。
   大理石で出来た三層の基壇の上に築かれており、この基壇は祈穀檀と言い皇帝が五穀豊穣を祈る式典を挙げる祭壇で、それぞれ真っ白な欄干をめぐらしている。上段の欄干には龍の模様、中段の欄干には鳳凰の模様、下段の欄干には雲の模様が浮き彫りにされ、龍は皇帝、鳳凰は皇后を象徴し、雲は瑞兆つまり“めでたさ”を表している。
   実物は高さ約38メートル(基壇含む)、直径は約24メートルの木造建築で長い棟木、梁は使わず、釘は使用せず建築構造学的にも中国を代表するものである。1420年創建されたが、1889年落雷で焼失、その後再建された。
   大雪像は二分の一の縮尺で製作された。

 

 2011年2月15日