放射線治療を終えて」
 谷口 啓治
 初めに
初稿のネーミングは長ったらしいので 今回は「放射線治療を終えて」と変更することにしました。中々筆が進まず、3月に入ってしまいました。

 4、治療法の選択
 tccの主治医には、大分早くから「PSAが0.2を超えたら放射線を当てるか、ホルモン療法に頼るように」と言われていて、二つの療法の功罪についても説明があった。因みに、天皇陛下は後者であり、のちに心臓の手術をされた事を挙げられて、この際は放射線療法を選択するよう可なり執拗に勧められた。
  大分迷った挙句に、セカンドオピニオンを頼ることにして 恐る恐る申し出をしたところ いとも簡単に了解され、「うちよりも良いところでネ」と諭された。
その前に、県内の独協医大付属病院のwebを見ていたので、その旨申し出て紹介状と今までの検査資料を出してもらった。

セカンドオピニオンと言うのは、名の通り「意見を述べる」事にとどまり、改めての検査とか診察はない。一時間当たり(意見を聞くだけで)21,000円も取られるし、健保も保険も効かない。予め承知をしていたので、聞くべき事をメモしておいたため、30分・半額で終わりホントに助かった。
おまけがついて、この先生は「tccの貴方の主治医は、小生の2年後輩です」なんて事まで・・・(洞穴の狢ではなかろうか?)
独協医大教授である先生には、合併症などもしつこく聞いた。曰く、放射線治療後に血尿や血便が出るとか聞いたがとの質問にもよく答えてくれた(注⑪)。

 一寸息抜き。前回の写真で「右手前が我が家、・・」と説明したが、実際には「我が家」は写っておらず、死角に入っており、左の家は、暮れに屋根を直した県立高校の体育教師(乳がんを患っていて筆者とはtcc仲間、目下は実家で安靜中なのか不在。屋根にカラーアルミを使ってほしかったが、ガルバリウム鋼板である)

注⑪;実際の合併症は、肛門痛と頻尿、頻便とが殆どで、肛門痛では ウオシュレットの当て方でも苦しんだし、頻便としては緩る便と若干の便秘の交互襲来に悩まされた。

 このような経緯の末に、11月中旬からtccの放射線科のお世話になった。
この際、治療費が気になったので先生に聞いたが、一回1,500円くらいですヨ、とアッサリしたもの。小生ががん保険に加入済みなのをご存じだったのか
「入院しますか」とも聞いてもらったが、入院中に暇を持て余しそうに思ったのでお断りした。
実際は片道15km近い距離をマイカーで走り、病院なりに駐車料金100円を取られ続けて、「厭になっちゃうナー」を実感した。

 金に纏わる話をしておこう。
先にも述べたように、先生には「一回1,500円ぐらい」と言われていた。
初日の11月16日に支払いをしようとしたら、自動支払機の音声で「7,910円です」と!
びっくり仰天、カウンターのおねーさんに「斯く斯くしかじか」と説明して調べてもらったところ、月初の一回目は高く出るが次回以降は1,900円に下がり、やがてゼロになる由であった。
筆者の場合は、治療回数36回が11月、12月と1月にまたがったので次に示すようであった。
 11月初回 7,910円、2~3回が1,900円 4回目は 220円、残り5回は0
  12月〃 2,180円、2~5回が1,900円 6〃 は1,350円、〃 13回は0
   1月〃 2,400円、2~5回が1,900円 6〃 は1,650円、〃  2回は0
(合計支払い額 34,710円、一回当たり 964円と言う勘定になる。 なお、筆者の健保負担率は10%である)

 5、放射線治療の実際
 tccの場合は地下にふた部屋の“処刑室”があり、36回とも決まって奥まった部屋に入れられた。
興味のある方はweb検索「jastro.jp」(日本放射線腫瘍学会のHP)を参照されるとよろしいが、放射線治療の二つの方法が用意されていて、IMRTとIGRTとがある。前者は強度変調放射線治療と言い、少ない副作用(照射の範囲が狭いので近隣の臓器を傷めない)で従来よりも多くの線量投与が可能。後者は画像誘導放射線治療であり、「俺のはどっち?IMRTですか?」と質問したのに対して、「IMRTに非ず、三次元放射線治療・IGRTである」と先生の答えであった。つまり穏やかに照射をする方法を選んでくれたようだ。
それでも照射線量は総量で1.8Gy(グレー)とか。
(少々乱暴な計算であるが、普通のCTスキャンが一回当たり 6.9mSvであると言われているので、1.8÷(6.9÷1,000)=260.9回分に相当する?)

 照射はベッド上に寝かされて、5個の放射ヘッドがついたリング状の機械が下半身を覆い、身体を軸にして回転しながら順番にヘッドから放射する。1個が約4秒間であるが、“処刑室”にはいってから出るまでが約8分間であることを確認しておいた。
着替えは不要で、ベッド上で着衣を下げるだけだが、靴を着脱するのが面倒であった。

 6、患者仲間
 予約時間が同時の仲間が男女5~6人いた。待合室でも沈痛そうでものを言うことがなかったが、女性は「どうされたの?私は乳がん・・・」なんて。
しかし、あっという間に数人づつの仲間が来なくなり、代わりに新しい人が来てメンバーチェンジした。
また、男性の話を聞いていると、前立腺がんが多くしかも手術をしない人が結構いて 約6年間の医療事情の変化を垣間見た気がした。

 放射線治療が終わって、少しホッとしたし予め聞いていたような酷い後遺症に見舞われなかったのは幸いであったが、後遺症は治療後数年間は油断ならぬと言うことらしいので、先生の仰せに従って「大酒でない範囲に」嗜もうと思っている。
 セカンドオピニオンの先生とも「あの人、変わっているヨ」と噂をしてしまったが、慶応の近藤誠先生(長年放射線治療に従事、一家言あり)の「医者に殺されないための47の心得」を読んでおく必要があると思う(田舎の図書館の蔵書は47人待ちであり何時になるか分からないが)。
                     



 アレッ・・・招かざる客也り

 七番目の孫、百夏でーす。
今は五歳ですが、この時は四歳でPC相手にリカちゃんとお遊び中。

(昨春、長崎市平和公園付近から福島県郡山市に越して来ました・・シーベルト大好き一家5人の一人です。)
  

平成25年3月1日€