「盆休みのアレコレ」
谷口　啓治
お盆には　実家の墓参りや菩提寺での施餓鬼法要に出なければならないのであるが、二年続けての“欠礼”を決め込んだ。　「我が家のセシウム」とでも言おうか、東日本大震災に関わることがあったので、お盆の休みに経験したアレコレと共に認めたい。　「・・大震災」は３月１１日であったが、長崎市に住まいおる我が三女一族の亭主（A生命勤務）に、７日付けで郡山支社への転勤命令が下った。早速社宅も決まっていたようだが、「地震の影響で住める状況に非ず、来春の新学期まで長崎の社宅にいるように」とのことで、亭主だけが新しく決まった（別の）社宅を拠り所に単身赴任を強いられている。盆休みを利用して長崎と郡山から合流してくれて、市内に住む長女、次女一家を加えての騒々しい日々を過ごしたが、一泊二日で福島へ“旅”をした。　１５日朝、東北自動車道・宇都宮ICから北上、まったく混雑なしに郡山JCT経由常磐自動車道に入り、会津若松ICで下りる。１２１号国道を喜多方へ。何んと、市役所の駐車場（開庁前なのに大入り満員）に車を停めて、「坂内食堂」なる有名な？ラーメン屋に並ぶこと１時間半。順番が来て食し終えたのは丁度昼時であった。そんなに待たされた所為か「美味かった」（坂内食堂さんゴメンネ）。　北海道と並んで、この地方には金属屋根（瓦ではなく、カラーアルミとかトタンなどで葺いてある）が圧倒的に多く、美しい幾何学模様を誇っている。　筆者は、古河カラーアルミ時代に、カラーアルミ板屋根の「アフターケアー」と称してこの地方を訪問して以来、その美しさに魅かれていた。（写真　１）　余談；カラーアルミのフッ素樹脂板は、雪の滑落性が良くて所謂“雪おろし”　が不要である。顧客のコメントでは、下ろした雪を運ぶのが大変である由だったが解決されたのだろうか。　当日の宿泊地は、「猫魔ホテル」と言う裏磐梯高原に連なる桧原湖〃岸の豪華なものであった（と言っても食事はバイキング）。平成初期に完成したが、不採算休業の期間があり、今のホテルは再開後の経営に依っているらしくフロントに聞いても「？？」だった。余談；１、このホテルの施工に際して、古河アルミの型材を玄関ポーチの何れかに使ってもらいながら、指定色が出なくて大騒ぎになった（当時の小山菅棒工場長・N.S氏承知）ことがあった。ポーチ内玄関の現況を写真２に示す。　２、　昭和３６年ころ、小山鋳物工場の設計Gで桧原湖に一泊した記憶がある。民宿風の宿であったが、夜に「泳いで見る」ナンテ事を言って宿の人に怒られたことや、清水靖弘、遠藤良一郎、山口末吉氏ら（何れも故人）と大いに楽しんだことなどが思い出された。　帰途、郡山市に立ち寄り　来春転居するであろう三女宅を訪ねた。地方にしては大型に属するか、通称“郡女通り”の６階建てマンションの最上階で、見晴しは上々なれど約６０km離れた福島原発からの“飛び道具“は避けられそうになく、小５を頭に来春には幼稚園に上がろうかと言う３歳・女子など二男一女の孫のことを思い気が重くなった。　１６日夕刻、郡山から東北自動車道を南下、白河ICまで無料走行。白河から宇都宮までは混み始めた高速を避けて、大かた一般道を走って帰宅した。　余談；筆者の自宅の大谷石の塀が倒壊したり、家屋の外壁に亀裂が入ったことを写真付きで申告したところ、宇都宮市の「被災者証明」が出た。　　　　白河IC以北で乗り下りすると高速区間はタダであり、これを利用させて貰った。　　　　運転は長女任せであったが、同乗者の「・・証明」でOKであった。　我が家のセシウム問題では、園芸用土を製造販売している長女の嫁ぎ先が被がいを被った。放射線汚染の疑いのある出荷済み品を引き取らされた上、在庫の処遇が宙に浮いているのである。　このようにお盆を過ごしたのであるが、墓参りを省略したことへの先祖の罰か、右の脚や腰に激痛が走るようになり整形外科医院のお世話になっているが直る当てはなさそうである。
（台風１２号の被害を悼みつつ、９月８日）