「お初にお目にかかりました」
谷口 啓治

 酷く暑い日が続き、伸び放題の雑草を気にしながらも「命あってのものだね」とばかりに農作業は隔日、しかも朝の6時半から昼どきまで、と決めてやっております。

それでも、少し気になる日には特別休暇を入れて休息したり、すっかり雑草に翻弄されております。

今日は、高校野球の県予選の目ぼしい一つの試合を観戦しようと楽しみにしておりましたが、草が気になって朝早く、先ず農園に直行。悪戦苦闘、二畝分ほどの除草を済ませた頃に急に雨が強くなり、急いで帰宅した次第です。

 帰路、団地に向かう山坂をのぼり詰めるところで「お初にお目にかかりました」。憎っき天敵・蛇にです。しかも最強のマムシでしたから、剛胆で知られた筆者もびっくりしました。幅1mほどのきこり道の真ん中に、奴はダブルS型に体を折り曲げ特徴のある三角形の頭をキッと持ち上げおります。1mぐらいの間合いでしたが、尻尾をサワサワと震わせて威嚇しており、長靴は履いているものの飛びかかられて噛みつかれては堪りません。成敗しようか、とも思いましたが「友愛」の精神を発揮、にらみ合うこと数分間。

当方の気持ちが通じたのか、ユルユルと脇の藪に入って行きました。

我々が作付している畑地には、主に縞蛇、ヤマカガシ、青大将等がいて、よく目撃したりニアミスしておりましたが、お互いにびっくりし合って遁走する間柄ですから、今日のようににらみ合うなんて事は無かったのです。

その上、何故か今年は彼らに会うことがなく、畑を荒らすケモノらしきものに喰われて数が減ったのではないか、などと仲間同士が噂し合っておりました。

これでしっかりと気を付けて農作業をしなければいけない心構えが出来ました。

 

 余談1;目ぼしい試合とは、県立宇都宮工業高校と私立の雄・文星芸大付属高校と  

      の一回戦です。下馬評では、屈指の好試合と予想されておりますが、前者

      は多くの先輩を小山工場に送りこんでくれましたし、後者、実は昔の校名を

      宇都宮学園高校と言った時代に卒業生の番長を預かって・・・と言った

      関係で、是非見てみたいと願っておりました(順延されて見る機会が無くな

      りましたが)。

 余談2;筆者の祖母は、京都府舞鶴市の片田舎で百姓をしながら暮らしておりました

      ので、茶畑でマムシを捕捉してくることが多かったのです。サッと皮を剥いで

      天日干しにしたり、丸のまま焼酎の瓶漬けにしたりしていたのを覚えており

      ます。肺結核の人の薬?として持て囃されたようでした。

 余談3;初春のころ、野兎が悪さをすると書きましたが、最近は畑に穴を掘ったりする

      奴が出てきており、ハクビシンかアライグマかなどと噂をしております。

      そう言えば沢山いた雉を全く見かけなくなりました。

 7月13日記す