2.ペルシャ人の工芸能力を示すものは何か

 

これは明らかにペルシャ職人のガラス加工、着色、成型の技術が現代の優れた工芸作家を凌駕している。

この民族が如何に創造性豊かな文化を作り出す高度な技術を持っていたかを示す例として、アケメネス王朝がBC512頃建設に着手して、BC331年にギリシャのアレキサンダー大王によって破壊されたペルセポリス宮殿の遺構を取り上げる。ペルセポリス宮殿の王様の謁見の間(アパダーナ)へ登る階段の壁にレリーフ(下の写真)が隙間なく描かれているが、これはペルシャ王に献納品を携えて王に謁見する非征服諸国の参列者の姿である。

 

 

特に参列者の衣装やヒゲ玉や髪の毛玉の配列、そして民族の容姿の違いを顎ヒゲや帽子、顔の表情など

で微妙な表現の使い分けをしている。そして成型に寸分のクルイも見当たらない。

これだけの技術がBC年代に確立されていたなどとは我々には想像もつかない。

従って、これより約550年後のAD226年頃のササン朝時代の同じペルシャ人ならば、この白瑠璃碗を製

作する技術を持っていたと判断しても間違いないだろう。