イプシロン打ち上げ中止、米国火星気象衛星の場合は?
川村 知一
はじめに
  8月27日打上げ予定であったイプシロンが打上げ時刻19秒前に中止になった。 
原因は地上装置による監視が、搭載計算機の姿勢計算開始より約0.07秒早かったため、地上装置が姿勢異常と判定し、自動停止した、とされる。 (図1)⇒

よくある境界のトラブル(今回は地上装置と搭載計算機との間)であるようだ。

 8月初旬、私が通っている英会話ディスカッションクラスのテキストに、米国が1999年に火星気象衛星の遠隔操作に失敗して、1億2,500万弗の損害になった話題があった。
 
 原因はコロラドのエンジニアリングチームとカリフォルニアのナビゲーションチーム間に起きた境界のトラブルで、火星に接近した衛星が軌道に乗らず、クラッシュしてしまった話である。
 根本原因は、前者がマイル単位を使用し、後者がkm単位を使用した相違による、とある。
(原文は文末に添付)
余談1.1979年、アルコアの押出工場ラファエットでの雑談で、米国の小学校でメートル法を教えるようになり、インチ、フィートで育った親と、センチ、メートルを使う子供間にギャップが生じ困っている、話が出た。

余談2.英会話教室の25才前後の女性教師はニューヨーク郊外の出身なので、余談1.の話を持ち出して確認したところ、「学校ではメートル法を習うが、実生活ではメートル表示はピンと来ず、いちいちインチ、フィートに換算し、気温も℃ではピンと来ず、Fに換算している。」との 話であった。

余談3.女性教師はアイルランド系アメリカ人で、東日本大震災までの3年間、早稲田大学で日本文学を勉強し、夏目漱石に興味がある、という。
趣味は宝塚で、某タカラジェンヌのファンクラブに入り、泊まりがけで舞台を見に行くほどである。本人もタカラジェンヌに負けない美人さんである。
一方、生徒は4年間ロンドン駐在経験の金融マン(オジサン)とオジーサン(私)2人であるが、飛び入りもあり、先日は古河スカイ現役の後輩が現れ、お互いにビックリしたが、彼もW大卒なので授業も和気あいあいで楽しんだ。

余談4.私が中学生だった昭和30年には、糸川英夫博士のペンシルロケットが、昭和31年には永田武隊長の第一次南極探検が話題になった。
私が所属した都立高校天文部の前身、東京市立一中の科学部に、糸川氏、永田氏の両氏が在籍したことで、特にペンシルロケットをルーツに持つイプシロン・ロケット打上げには興味を持ち期待していた。
(固体燃料系ペンシルロケットは旧文部省管轄、液体燃料系HⅡロケットは旧運輸省管轄の縦割り行政である。)

添付:原文(スキャナー使用)
 平成25年9月2日