蒙古斑アレコレ話
川村 知一

はじめに
3月18日、勝岡氏からの便り(掲示板)の返信に「ハンガリー人の子供の中には蒙古斑がある」話があった。
近ごろ蒙古斑について何かと気になることが多いので、関連するアレコレをお話してみたい。ただし私は専門家ではないので、皆さんの情報もお聞きしたい。

(その1:蒙古斑の認知度、発生確率)
3年ほど前に倒産してしまったが、英会話NOVAで7人ほどがフリー会話中、私から蒙古斑の話をしたところ、2,3人の大学生から「蒙古斑て、何ですか?」と質問が出た。同席していたオーストラリア人女性教師が知らなかったことはさておき、私には驚きであった。
考えてみると、少子化で兄弟が少なくなった結果、兄弟同士、お互いの尻を見る機会が少なくなってしまったせいか?と思ったり、銭湯など共同風呂に入る機会が少なくなったり、我が家でも孫娘の授乳、オシメ替は家族に見られないよう別室で行ったりしているので、現代の若者は知らない確率が高いのか?とも思った。(私もまだ孫娘の蒙古斑を見ていない。)
すると同席した中年女性が「最近の子供に蒙古斑は見られないケースが多くなっていて、50%くらい」という意見が出て、これまた日本人には皆あるものと思っていた私にとって驚きであった。(孫娘にはあるという。)
何千年、何万年も続いたものが、ここ半世紀で発生率に変化あるものか?

(その2:幼児虐待容疑)
16年前、ミシガン州バトルクリーク、デンソー1番地、米国デンソーを訪問し、2名の技術者と面会した時のことである。
昼食後の雑談で、1名は滞在2年目の新婚で、当地で子供が生まれたという。赤ん坊の健診のため小児科に行ったところ、1時間ほど質問攻めにあい、拘置されたという。
若い医者が尻の蒙古斑を見て、両親による幼児虐待容疑となったようで、いろいろな質問を受け、英語での十分な説明ができず、長時間の拘束状態になったという。
幸いなことに、年寄りの医者が現れて「これは蒙古斑だよ」と若い医者に告げて無事釈放されたという。下手をすると警察に通報され逮捕されるところだった、という。この手の話は噂では聞いていたが、実際に話を聞いて驚いた。

(その3:ハンガリー人の蒙古斑)
ここではハンガリーの歴史を詳しく述べるつもりはないが、13世紀に蒙古に侵略され、4世紀には蒙古・トルコ系と言われる好戦的なフン族の大移動で侵略され、蒙古斑の遺伝子が持ち込まれた、とされている。
ついでにハンガリーという国名について、インターネットで調べると、俗説にあるような「フン族」が語源でなく、ドイツ語Ungarn、ギリシャ語Oungroiに見られるように、元々はhがなかった。とされる。
私が子供のころ聞いて信じていた「ハンガリーはジンギスハーンの国だ」などは論外のようであった。

(その4:フィンランド人の蒙古斑)
「フィンランド人にはモンゴロイド系がいて、蒙古斑も見られる。」という話を聞いたが、インターネットで調べた結果、確証は見当たらなかった。
諸説の中に、ハンガリーにいたフン族が、その後フィンランドに移住し、ハンガリー語とフィンランド語には共通点が多い、などあるが、これまた反論が多く見られた。
フィンランドについては、40年前と20年前にフィンランドを観光した私の妻から聞いた話で、ガイドが「フィンランド人には日本人と同じ蒙古系の人がいて、天敵のロシアを唯一打ち破った(日露戦争)国、ということで日本人に好意的で尊敬する国」との説明があった、と言う。

あとがき
蒙古斑については、生理的機能、役割などがあれば、知りたいところであるが、これまた諸説あるものと思われる。

平成22年3月