FA展に寄せて
稲葉 浅治
   第21回FA展開催にあたり、世話人の石光眞一様、矢部雅章様のご苦労に対し、厚くお礼申し上げます。
   今回のFA展は、開催日(3月20日)を目前にした3月11日に、千年に一度という「東北関東大震災」が発生したことにより、FA展を開催するか否かについての検討が行われ、最終的に開催という苦渋の決断がなされました。
   この経緯については、別紙「FA展の皆様 第21回FA展について」の文書に記されている通りです。この文書はFA展会期中、受付に置かれ、FA展出展者をはじめ来訪者に配布されました。  ところで、この文書を見た来訪者で、この文書に感激し、この文書にとても元気づけられた人がいたことがわかりました。この方は千代田区高齢者センターに開設されている川柳倶楽部の講師をされておられるS先生です。
  3月の講座は3月15日と29日に設定されていましたが、3月15日は巨大地震発生直後であり、自宅の松戸市から千代田区へ来る交通手段も満足に確保できないため、休講としました。しかし、後で先生のお話をうかがうと、実は日夜報道される大地震を見聞きしていると、気持が滅入って、暗い気持ちになってしまい、とても川柳の講義をする気持にならず、大変落ち込んでいたからとのことでした。
   その時に、どうしても東京駅近くにいかなければならない仕事があり、やっと都心に出かけてきました。その時、有楽町でFA展をやっているというハガキ(稲葉が2月下旬に送付したもの)を持っていたので、多分やっていないだろうと思いながらも、会場のある東京交通会館へ向かいましたが、FA展は照明を一部消した状態ながらも元気よくやっていたこと、また、その経緯を文書で知り、非常に感激し、大いに元気づけられたということでした。
  先生は「もしFA展がやっていなかったら、自分の気持が滅入ったまま、次の3月29日の講座も中止していたに違いないと思う。FA展が元気にやっており、出展者の苦渋や前向きの気持を文書で知ることにより、自分も29日の講座を元気一杯、実施し、受講者にも元気で明るくなってもらおうと決断したとのことでした。
  このように、今回のFA展実施によって、出展者はもとより、来訪者に元気づけることができたということは、FA展出展者の一員として、とてもとても嬉しいことであり、これによって我々も逆に元気づけられた出来事と深く心に刻んで参りたいと思います。
  巨大地震が発生して3週間になった現在も、未だ何十万人の方が不自由な避難生活を続けておられます。私達が出来ることは、FA展でも実施したように義援金を拠出すること、節電を実施すること、不要不急の物資の買いだめをしないこと等ささいなことしか出来ませんが、今すぐに出来ることに取り組み被災者支援という想いを積み重ね、一日も早い復興を心から願い祈りたいと思います。              
(H23.3.30記)