第 4 0 3 回 講 演 録

日時: 2012年12月5日(水) 13:00~14:50

演題: 災害に強い町作り ~地域主体のスマートタウンの構築~
講師: 早稲田大学 理工学術院 環境・エネルギー研究科(大学院) 教授
                                                                                    工学博士 横山 隆一 氏
講演で使用されたスライド
 

紹介にあったようにコンソーシアム電力技術懇談会の会長を仰せつかっているが、今日は前会長の種市さまが出席されておられる。7年前に種市さまの縁で、早稲田大学に移ることになった。理工学術院は全国に散らばっている理工学部大学院の総称で、大きな組織である。環境・エネルギー研究科は非常に人気があり、現在、研究室には博士課程8人、修士課程13人の学生がおり、留学生もよく集まり、環境とエネルギーがホットな話題となっていることが分かる。

今日は災害に強い町作りとしての電力ネットワークの構築について話す。最終的には、そのような町作りは、地方自治体が電力会社と協調して実施することになるので、スマートタウンと呼ばれることが多い。ここでは、先ず基礎知識としてクリーンエネルギー技術について述べる。2011年3月の震災により、電力供給の考え方を変えなければならなくなった。原発の代替はというと、直ぐ再生可能エネルギーというが、これを受け入れるためには新たな次世代電力ネットワークが要るので、国はこれをスマートコミニュティと呼んで推進していることを示す。次に我々の研究室が提案する災害に強いネットワークのあり方、電線メーカが喜ぶであろう国境を越えた大連系について話し、時間があれば熱の有効利用について触れたい。

1.低炭素社会実現のためのクリーンエネルギー技術と新たな課題

(1)電力事業の動向と新たな課題

送配電分離をいち早く始めた欧米では、良いこともあるものの、問題も起こっている。1995年頃から規制緩和が本格化したが、1999年にカリフォルニアでは、卸しの電力価格が電力供給会社の市場操作によりピーク時には300倍にもなった。カリフォルニアの二つの電力会社が潰れそうになり、市場操作を行ったとしてエンロンは訴えられて倒産した。次に、発電所を作って電力を売ると儲かるとのことで発電所は建設されたが、工期が長い流通設備は誰も作らず老朽化し、2003年に大停電が続発した。カナダとニューヨークで、その後にはイギリス、上海、イタリア、北欧、ドイツでも起きた。その後、石油価格の高騰による電力価格変動、信頼度劣化、2008年からはCO2排出削減があったが、日本は余り規制緩和をせず送配電分離も行わなかったため、外国で起こったネガティブな問題にはほとんど関係がなかった。しかし、2011年に自然災害による原子力発電事故によって日本の電力が大打撃を受けた。

(2)CO2排出量

世界のCO2排出量に関する19712005年の統計では、発電部門(石炭発電)が26%、輸送部門(ガソリン車)が17%(日本は19%)、家庭・業務部門が30%である。これらの三部門でしっかり削減を進めれば、鳩山元首相のいう25%削減も無理な話ではない。

電力会社は対してCO2排出量の削減が要求されている。各種電源の排出量は、化石燃料ではkWh当たり900g以上、きれいとされる天然ガスやコンバインドサイクルでも500gぐらいである。これに対して、原子力は20g強で一桁少なく、再生可能エネルギーも数10g程度で、CO2削減では魅力的である。

しかし、電力会社はCO2削減で商売をしている訳ではなく、発電コストが問題となる。コスト算定にはいろいろ議論はあるが、公にされているものとしては、原子力5.3円、石炭火力5.7円、LNG火力6.2円、石油火力10.7円、一般水力11.9円である。CO2削減と発電コストの両方からは原子力が魅力的であり、国策として原子力政策を採ってきた。

図1に電気事業からのCO2排出量の推移を示す。使用電力量の増加を埋め合わせるように、原子力発電量は増加した。原子力発電はCO2を排出しないので、1990年代から電力平均のCO2排出量は400/kWhで、このままいけば原子力が増え続けて340/kWhぐらいになるとの政府の見通しであった。

図1.電気事業からのCO2排出量の推移

日本の400/kWhという値は世界的に見ると、イタリアとともに上位にある。悪い方からはインド、中国、アメリカ、ドイツの順となる。良い方は、原子力発電が80%を占めているフランスは90/kWh、カナダは水力発電が60%のため200/kWhである。エネルギー資源の全くない日本とイタリアは外国から輸入してくるしかないので、調達が安定して安くてきれいなウラン、天然ガス、そして石油、石炭、水力、さらに再生可能エネルギーが少し加わる。資源のない国は、このような最適電源ミックスを採らざるを得ない。

アメリカはエネルギー消費大国であり、無駄にエネルギーを使っている。家が大きすぎ、自動車も大きいのに加えて、国民的課題が肥満であるので、全てスリム化が望まれる。CO2排出で悪いのは石炭火力で、その比率はインドが70%、中国が80%、アメリカとドイツが50%と高い。アメリカは石炭業界が大統領選挙の票田になっているので減らすことが難しく、アメリカも中国もCOP3に入ってこない理由は石炭火力にある。

麻生首相の頃に電事連が作成した「発電分野の低炭素社会実現に向けた戦略」では、供給サイドとして、原子力の比率を高め、原子力の稼働率をフランス並みの90%ぐらいに上げ、国からの要請で再生可能エネルギーを増やし、電力が変動するので電力貯蔵を入れる方針を打ち出した。一方、需要サイドは、エコキュートというヒートポンプ、電気自動車、熱貯蔵を進める。これらの導入によって末端でエネルギーが発生するので、電力が逆に流れることもあるため新しいネットワークの変え方が必要である。このようなことを踏まえて、低炭素社会を作ろうと考えていたのが3年前までの大きな方針であった。

(3)低炭素社会実現に向けた技術

① 石炭ガス化複合発電(IGCC)

日本発の技術で、東京電力の補助により、いわき市に250MWの実証プラントが作られている。津波で一次停止したが、復帰している。石炭を微粉化して、そこに高い温度の空気または酸素を送り込むことによってガスを作り、残渣等を取り除けばきれいなガスとなる。できたガスでコンバインド発電を行う。効率が50%に達し、中国からの見学者が多い。

② CO2回収・貯留技術(CCS)

石油や天然ガスを採掘したところにCO2を戻す技術である。10年、20年と長期間に亘って閉じ込めることができるか。掘るときは化石燃料が出てくるが、埋め戻すには相当お金が掛かるという問題もある。現在は、日本CCS調査㈱等が大規模実証試験事業を始めたが、これからの技術である。

③ CO2冷媒ヒートポンプ給湯機の給湯システム(エコキュート)

外気の熱を集めてコンプレッサーでCO2を圧縮して温度上昇させて給湯・暖房に使い、逆に膨張させて温度降下させて冷房・冷蔵庫に使う。集めた熱と使った電気で出てきた熱は、効率が300%になる。国が推奨しており、導入すると補助金が付く。東京電力と電力中央研究所の開発による技術である。

④ 大容量電力貯蔵用NAS電池

再生可能エネルギーを導入すると電力が変動するので、変動を吸収する大容量の電力用電池が必要になる。NAS電池は日本ガイシと東京電力が開発し、世界的にも注目されている。加熱して液体になったナトリウムと硫黄を電極とし、ベータアルミナを電解質とし、約300℃で高温動作させる。50kWモジュールが、内外で、10MW単位で売れた。定置式としては世界一の電池である。

⑤ 電気自動車

国が進めている電気自動車は、軽自動車が全て電気自動車になると25百万トンのCO2が削減されるとの試算が出ている。ヨーロッパではスーパーカーが1千万円(日本では2千万円)で売られており、東京ではバスが走っている。電力会社も開発を行っている。慶応大学が開発しているのは、車輪が六つあり、時速500kmを目標にしているが、どこを走るつもりか疑問だ。一方、早稲田大学が開発しているのは、ミニ四駆のように可愛らしく、距離も20-30kmと買い物用に向いているものである。両校の校風が現れている。

(4)震災と電力供給

東北地方太平洋沖地震が起こり、18mを越える津波が来て、村も町も壊れてしまった。夕方には化学プラントの火災も起こった。福島第一原発にも津波が襲い事故が起きたが、あとで出てきたビデオでは意思決定が混乱していたことが分かる。例えば、直ぐにアメリカから海水を注入するように言われたが、海水を入れると廃炉にしなければならなくなる。決定権がある会長が韓国に行っていたため相談ができないので、GEに直接連絡しようとしたが英語を話せる人がいないなどといわれている混乱で、対応が遅れて、その後の大爆発に至った。

日本の発電は水力の時代(水主火従)から火力の時代(火主水従)になり、1973年には火力は73%になった。その後石油危機が起こり、石油を減らして、代替として天然ガスを増やし、原子力を増やした。原子力は着実に増え、電源容量に占める割合が30%に達した。今回の震災が起きたあとは、原子力発電の停止に伴い、天然ガスを燃焼させざるをえなかったため、201112月には火力の割合は72%に増加した。すなわち、原子力がなくなれば、1973年の頃に戻ることになる。現在の政党は、原子力を現状維持するか減少する方向にある。

そうなると、エネルギー社会インフラのシナリオを書き換えなければならない。低炭素化社会がエネルギー政策の主眼であったが、原子力という切り札を失ってしまったので、電力安定供給が主要課題となってきた。低炭素化は電力や社会にゆとりがあるときの話である。そこで省エネルギー、創エネルギー、蓄エネルギー、熱エネルギーを含めて、新しく社会インフラを見直す時期がきたと考えている。集中型の現在の電力会社は保持することにはなるが、地方自治体は自己の安定供給の道を探り、相互補完する供給システムを構築するというパラダイムシフトが起こることになる。

2.電力安定供給のためのエネルギー技術のパラダイムシフト

(1)電力分野における新たな展開

今日まで築き上げてきた発電設備は、重厚長大で大規模なものとなっている。最近でこそ、クリーンな電力という要請があるが、需要家が求めるのは結局は廉価な電気である。安い電気を作るためには、スケールメリットを狙って、100kWないしはそれ以上の大規模発電設備を作ることになる。そのような大規模発電設備は都市近郊に作ることができないので、福島とか柏崎などに作ることになりが、需用地から200kmもの長距離輸送設備を経由するため、地震や津波といった自然災害に弱い。

緊急に取りうる対策は、節電である。昨年の夏は15%から20%の節電を達成したものの、汗を掻き、不便を感じながら電気を減らした。今年の夏は、LED電球に置き換えたり、効率化を図ったりして、頭を使って金を使って節電した。節電は定着しており、次に出てきたのが自前の電源を持つことの必要性の認識である。病院、消防署、警察署や地方自治体が自前の電源を持とうとしている。何かが起きたときのために分散的なエネルギーと分散的なネットワークを作っておいて、電力会社からの電力が不足したときに補完する。そこで、直ぐ再生可能エネルギーの導入と言う人がいるが、その前に原子力の次にクリーンな天然ガスを使うことになる。シェールガスのような安いガスが出てきたので、100年間ぐらいは調達は大丈夫である。LNG火力を作るのに7~8年掛かるので、ガスエンジンが早い。暫くは天然ガスの時代、次に燃料電池、石炭ガス化を使う。そして再生可能エネルギーが登場するが、固定価格買取制度が施行されたので、これ利用した大型太陽光発電、メガソーラに採算性が期待されている。さらに、災害に強いとのことで人気が戻ってきた風力、我が国の豊富な水を利用した小型水力が期待できる。地熱やバイオマスは昔からやっているのになかなか進まないのは、技術的にもコスト的にも無理があるからではないか。これらの再生可能エネルギーは変動するのでバッテリーが必要になるが、バッテリーは高いので電気自動車のバッテリーを使う。日産リーフには24kWhのバッテリーが搭載されているので、1軒の家で3日間の電気が供給できる。

(2)東日本大震災後の社会ニーズの動き

震災後のベストセラーにトヨタホームがある。耐震構造で、トヨタのプリウスのバッテリーで3日間籠もっていれる。3日間経つと周りも安定し、救援物資も届き、電気も復活する。昔は奥様方がエコな家を選んでいたが、最近は災害に強い家が選ばれるようになった。

ヤマダ電機のベストセラーはエジソンパワーで、容量1kWhでエアコンを1時間点ける程度であるが、87万円した。最近は50万円ぐらいになったが、よく売れている。自分で電気を確保する考えが、震災後に出てきた。

(3)再生可能エネルギーの導入

太陽光発電の導入予測によると、現在の導入量は500kWと多いとは言えない状況であるが、半導体業界の意向を汲んで積み上げた結果、2020年には2,800kW2030年には5,310kWとなった。これは原子力発電所53基分に相当し、半導体業界に数十兆円もの金がいくことになるが、30年掛かって、やっと現在の500kWしか導入されていない現状も考えなければならない。電力系統が、運用上の負担がなく受け入れられるのは先ずは1,000kWと考えている。

一方、風力は自分が委員長で、控え目で現実的な数字になっている。現在は300kWで、役所からの要請で、2030年には北海道や東北地方の開発を加速し、1,000kWぐらいにしようという計画がある。風力発電は停電時にも発電が可能で、洋上の風力は安定した風が得られ、設置コストは商業ベースで成り立つ。

再生可能エネルギーは、いいことばかりではない。コストの問題がある。電力市場や既存電力会社の卸値(発電単価)は、kWh当たり5~11円ぐらいで、売値が1624円である。風力、地熱、小型水力は、この価格帯に納まっているが、太陽光だけは4850円でないと元がとれない。業者が勧誘に来て、8年目で元がとれると言っている。しかし、これが成立するには、昼間に電気を使わない(全量を売電できる)家庭で、設備が全く故障しないなら8~10年目ぐらいで黒字かもしれない。このように、太陽光は高いエネルギーであることを忘れてはならない。

配電系統においては、送電端で高い電圧で送り出し、末端にいくにしたがって電圧が下がっていくが、受電端で適正値(101±6V)に入るようになっている。太陽光発電が配電系統に入ってくると、出力が消費電力を上回った場合には逆流して電圧上昇して適正値を逸脱する可能性がある。その場合には、発電を止める訳にはいかず、電圧調整装置を設置する必要があり、これは、通常、電力会社の負担となる。今は問題になっていないが、配電系統に需要の40%ぐらい太陽光発電が入ってくると、完全に上限値を超えることになる。

周波数の問題がある。太陽光発電は出力変動するので、調整力が不足する恐れがある。また、電力会社は太陽光発電出力の低下時に電力を供給しなければならず、その分のバックアップ設備を持たなければならないので、二重投資になる。需要が少なければ電力が余って系統から切り離すので、パネルの表面温度が上がって良くない。また、停電時にも太陽光発電は生きている可能性があり、危険である。種々の問題があるので、むやみに太陽光発電を導入する訳にはいかない。

このような問題を解決するために、15年ぐらい前にマイクログリッドが検討された。ループ状のネットワークを形成し、地産地消のエネルギーを使って、貰いたい人は貰い、送り込みたい人は送り込むシステムである。これを運用するためには、EMSという需給運用システムを使うが、ソフト的にうまくいかないときには電力貯蔵装置を使う。電気学会で検討したが、これでも不十分で、不足したら電力会社からバックアップを貰わないとならないご都合主義で自立できない。また、設備規模が全て小さいので割高となり、電力設備単価は、電力会社がkW当たり25万円ぐらいで作るのに対して、八戸での実証例などでは200万円ぐらい掛かった。

3.次世代電力ネットワークとスマートコミュニティ開発への取り組み

(1)スマートグリッドと社会便益

マイクログリッドは高くて自立性がないことになったため、太陽光などの変動する電源が入ってきたときに上手く処理するスマート技術が2009年頃登場した。日本におけるスマート技術は、デジタルメータ、見える化、バッテリーと電気自動車およびこれらを制御するEMS(需給運用システム)である。その後オバマ大統領がこれをスマートグリッドと呼んでから、注目を集めた。

従来は電力会社が電力を送り、需要家の周りで測っているのは使用電力量のみである。現在はセンサが安くなり、あちこちにセンサを入れることができるようになった。これらのセンサで情報を蓄えたり、電波で飛ばしたり、信号を受け取って制御したりできる。電力会社はデータを受け取り、分析して需要家に送り返すのがアメリカ流のスマートグリッド技術である。需要家は分析されたデータを受け取り、節電、省エネ、再生可能エネルギーの導入などの対応をする。これがデマンド・レスポンスと呼ばれている。

これらは需要家の便益であるが、電力会社は配電系などにセンサや制御器を入れて、設備利用率向上、無停電(アメリカのエネルギー省の説明)に役立てることができる。ICT(情報通信技術)を張り巡らすことで送る側と使う側の両方に便益が出てくる。

日本は遅れており、今メータを付けている。関西電力は比較的進んでいるが、大口需要家はあと3年、小口需要家はあと10年掛かる。スマートグリッドが効果を出すのは、全てのメータが置き換わった10年後である。メータが完備されると、次にソリューションの提供が行われ、エネルギー最適利用のための診断等の情報が送られる。最終的には資産管理までいくと言われている。スマート技術はブームで終わるのではなく、本当に実を結ぶのは10年後頃と期待している。

(2)世界各国の取り組み

スマート技術は日本だけでなく、世界各国で取り上げられている。特に、中国と韓国が積極的である。欧米でも進められている。

① アメリカ

既に4千億円が使われている。目的はいつものことながら、日本にニューメキシコやハワイで実証設備を作らせて、それを参照して国際標準を自分達で決めることである。デジタルカメラ、DVD、ビデオテープ、半導体などのように日本が先に作ったにも拘らず、日本が作ったものが国際標準から外される懸念があるので、乗り遅れないようにしなければならない。

② 韓国

実証が上手くいった暁には、海外ビジネスにすることを考え、済州島に30億円ぐらい掛けて、国を挙げてスマートグリッドのテストベッドを作った。島の5分に1ぐらいのところに数万人ぐらい住んでいるが、風力、PV、メガソーラ、潮の満ち引きを利用した波力などあらゆる新エネ関連設備を設置し、リアルタイムに繋ぎ、コントロールセンタで制御するとのことである。立派なPRセンタで、英語の達者な美人ガイドが説明してくれるが、実際には、まだリアルタイムでは動いていない。見せ方(見える化)だけはうまい。

③ 中国

昔の天津は北京から人が移り住んで、マンションも高くなり、住めなくなったので、50kmぐらい離れたところに36万人が住めるエコシティを作っている。最初見に行ったときは沼地であったが、3年後には都市が建設されていた。若い人を集めるために、アニメーションパークとかサイバーパークも作って、現在は2万人ぐらいが住んでいる。全体の20%は再生可能エネルギーで、ゴミ処理とか冷暖房を完備している。エネルギー的には独立している。中国とシンガポール政府が共同プロジェクトで進めており、上手くいったらアジア諸国にと言っているが、建設は全て日本の会社が行っているものの、看板には全く名前が出ていない。

④ ヨーロッパ

ドイツが中心になって進めているプロジェクトは、サハラ砂漠の太陽熱を利用して発電し、2,000mぐらい離れたヨーロッパに電力を持ってこようというもの。40兆円プロジェクトが、実際に動き出す。

(3)日本の取り組み

日本の開発は役人の好きな段階を踏んで進める。先ずはスマートハウスからスマートビル、次に大きい地域をやり、小さい地域をやって、小さい地域を全国展開し、大きい地域をスマート化することになっている。スマートグリッドは、いつの間にかスマートコミニュティになった。スマートグリッドは電力会社のネットワークのことで、日本は世界一良いので、これ以上直しようがなく、電力会社は興味を示さない。スマートコミニュティとなると電力ネットワークに加えて熱インフラ、ライフスタイルの転換、交通インフラまで広がり、これら全てを含めてEMSでコントロールすることになり、東京電力等も参加している。

3年前に20地域が「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に応募し、4地域(横浜市、豊田市、けいはんな、北九州市)が選定された。それぞれが100億円オーダーのプロジェクトである。横浜市は電力系統の依存度が高く、全ての部門を一緒に制御する。豊田市は電力依存度が低く、個別の家やビルを制御する。特に大きいのは750億円といわれる横浜市プロジェクトで、ひとつの地域としては世界的でもトップクラスのプロジェクトである。実施者は、横浜市、アクセンチュア、日産自動車、東芝、明電舎、パナソニック、東京電力、東京ガスである。27MWの太陽光発電を入れて、4,000世帯のスマートハウスを作り、リーフを2,000台普及させ、それらをEMSで制御する。CO22005年比で24%削減することを目標とし、あと2年で完成するので成果が待たれる。

地方自治体としては100億円オーダーのプロジェクトは実施できないので、上記プロジェクトを補完する先進的で汎用性の高い技術の確立や地域エネルギーの活用等、地域に根付いたスマートコミニュティの実証として、次の年から出たのが「次世代エネルギー技術実証事業」である。平成24年度の予算額は27.8億円で、七つのプロジェクト(鳥取市、福山市、水俣市、佐世保市ハウステンボス町、日立市、三重大学、大阪市)が採択された。今年から、もっと小さいものも始まったが、省略する。

(4)主要地域のスマートグリッドを取り巻く状況

アメリカは規制緩和を早く始めたら、流通設備に誰も投資せず、60ないし70年前の送電インフラが使用されていた。ブッシュ大統領が送電線を作り直すことを考えていたが、オバマが勝ったので、ブッシュの政策は採用できず、古い設備にスマートメータを取り付けてICTにより生き返らせることを目指しており、これがスマートグリッドである。

ヨーロッパはCO2削減のために再生可能エネルギーが15%以上入っているが、国ごとに偏在している。そのため、大きくネットワークを作り直さなければならず、全ての国々が熱心である。

中国も熱心であるが、まだ町作りの段階にある。新しい町を作るに当たっては、天津のエコシティのように、付加価値としてエコな町とする。都市開発とセットでスマートグリッド(エコシティ)を作っている。

日本では電力会社はスマートグリッドが必要だとは思っていない。需要家が求めるのは安定供給してくれる安い電気で、きれいな電気であればよい。電力会社は50年に亘ってスケールメリットを狙った大規模電力系統を作ってきたのは正解である。国策として原子力発電を採用したのも正解である。大規模電源は遠隔地にあり、長距離送電が必要であるが、今後は建設が難しくなる。また、大規模設備は2011年のような自然災害に対して脆弱である。

スマートグリッド、昔のマイクログリッドは電力系統をいじらずに、ICTにより古くなったものを生き返らせようとするものである。目玉はデマンド・レスポンスであるので、ICTに設備投資するとお客は電気を使わなくなる。電力会社としては対費用効果がないので、日本では興味を示されない。マイクログリッドは自立性を求めたが、結局は自立できずに電力会社にバックアップして貰うためパラサイト(寄生虫)である。

このような状況で出てくる次世代社会インフラは、①災害に強いネットワークとして地域主導のネットワークであるクラスタ拡張型グリッド、②国境を越えた電力融通の多国間連系ネットワークであるスーパーグリッド、③日本が苦手なゴミ焼却熱や工場廃熱の有効利用である地域熱供給ネットワークである。

4.災害に強い地域主導型電力供給インフラストラクチャー

我々の研究グループでは5年ぐらい前から取り組んでいるが、最近地方自治体からの問い合わせが多くなった。クラスタ拡張型グリッドのクラスタは、ひと塊である。最小単位は家屋1軒である。太陽光を付けると昼しか発電できないので、自立しているとバッテリーを入れなければならない。太陽光が200万円、バッテリーが100万円掛かると20年経っても回収できない。そこで電気自動車のバッテリーを使って、3日間ぐらい生き延びようとするのが、最低単位の自立型クラスタである。

これを隣り組に拡張したものを地方自治体が進めている。現在は電気事業法の定めにより、隣りに余った電気を融通する訳には行かず、一度は電力会社に送って、上位系から充電しなければならない。現在、規制緩和して特定な契約でできるようにしようとしている。これが隣り組のクラスタである。もっと広げたのが横浜市プロジェクトであり、金沢、港北地区とか「みなとみらい」地区をクラスタにして融通し合う。

図2に示すように、クラスタ型ネットワークには地産地消の再生可能エネルギーを活用する。期待されるのは小型水力とメガソーラである。シミュレーションによると、どうしても必要になるのがバッテリーで、周波数や電圧を制御する。さらに、天然ガスエンジンを30%ぐらい入れると、商用系統と同じぐらいの電力品質が達成できる。商用系統と連携したければ、連系用インバータで有効・無効電力(PQ)を制御することになる。こういうものをパッケージ化すれば、離島や僻地また未電化地域に向いている。災害にも強く、小さい範囲なのでコジェネの熱なども共有できる。このようなものが実現できるか、この3年間にわたり公的資金を貰って実現性を検証している。

図2.クラスタ型ネットワークの要素と構成

(1)クラスタ拡張型スマートグリッドのミニマル・クラスタ

本庄キャンパスで、ガスのコジェネ、燃料電池、太陽光、風力、電気自動車を組み合わせて、電力/熱同時供給システムの実現性を検証している。

(2)リチウムイオンキャパシタによる太陽光発電の出力安定化

平成22年度NEDO新エネルギーベンチャー技術革新緑事業として、5千万円貰って行っている。太陽光は天候変動による出力の短時間変動がある。キャパシタはμsecの応答をするので、太陽光に含まれるスパイクのようなものを全て取り除くことができる。実験に成功し、現在は東京電力に電気を売っている。

(3)クリーンエネルギーによるスマートグリッド実証調査

平成22年度のNEDOの事業として、水俣市の養魚場に電気を供給する。役所からの要求で、小型水力、波力、太陽光、燃料電池を使う。負荷は循環ポンプ、照明と作業員のシャワーである。太陽が出ているときにはバッテリーに蓄え、太陽がなくなるとバッテリーと燃料電池で賄う。5kWで5千万円と、試作品なので非常に高いシステムである。

(4)本庄スマートタウンにおけるエネルギー管理システム

5億円を掛けて駅の近くに模擬のコンビ二を作り、そこに電気と熱と冷熱を供給する。それを1ブロックとし、商店街ができてくるので、幾つかのブロックを上位のEMSで制御する。全部が順調に動いているが、役所から5kWSOFC(固体酸化物型燃料電池)を入れるようにとの要求があり、特注したら4kWで4千万円掛かった。SOFCが入れば熱も供給できるようになる。所定の目的を達して、中間評価も良かった。

(5)エネルギー自立型災害対応スマートマンション

我々の研究室が橋本にあるプロパンガス会社のレモンガスと共同して、15世帯のスマートマンションを完成させている。2階はコミニュティスペースで、災害時に近所の人が非難できるようになっている。地産地消のエネルギーを使い、電力会社に全面依存せず、電力の6割以上を自前の電源で供給する。熱は完全に自前で作る。売りはトリプル発電で、LPガスによるコジェネ(10kW×2台)、LPガスによる燃料電池、8.3kWの太陽光発電が入っている。バッテリーを入れて、平準化を図る。地下にはLPガスのタンクがあり、6か月間電気が供給できる。水や食べ物も共通ルームに保管している。熱の97%はコジェネの排熱で供給する。電気は万が一の事故に備えて、30%ぐらいを電力系統でバックアップしているが、68%はカバーできる。電気代は近くに住んでいる人より10%安く、ガスも都市ガスより10%安くする。現在半分入居している。

(6)災害に強いクラスタ拡張型電力インフラとスマートコミニュティ導入促進等事業

本庄市にキャンパスがあることから本庄市出身の嘉田滋賀県知事(未来の党代表)が訪問され、安全なところに何を作ったらいいかと言われた。災害復興の際には高台に住宅を作ろうとしたが、漁民が高台に住んでもしょうがないと反対し、今の案では高台にエネルギーセンタを作ることになった。

図3に次世代の新エネルギー・社会システムを示す。高台には先ずガスタービンを置き、風力などの地産地消のものを置き、その周りに行政ビル、病院、高齢者住宅、緊急避難所を作る。住宅街が津波で被災しても、高台は自立できているので電気、水、通信機能が確保でき、住民の安心・安全に繋がる。

図3.次世代の新エネルギー・社会システム

1年後に環境省に呼ばれて説明したことがあったが、このアイディアと類似な被災地におけるスマートコミニュティ導入事業費補助金の公募をすることとなった。平成23年度の第三次補正予算で80.6億円が付いた。スマートコミニュティの事業イメージ図では、住居は高台でなく海岸線にあり、幾つかの産業エリアと商業エリアはクラスタとして独立している。これらのクラスタをコントロールセンタでコントロールする。津波の際には人は避難するとしても、この高台はエネルギー的に自立しており、災害に強い。

(7)パッケージ型エネルギーインフラ

2010年菅政権の閣議決定に新成長戦略があり、今年も出たが内容はほとんど同じで、パッケージ型社会インフラをアジアに売り込もうとするもの。日本の優れた環境技術に、クラスタ拡張型スマートグリッドを付けて、発展途上国に電気と通信手段と水を供給する。これにより、技術者が育ち、最終的には貧困の救済になる。

フィリピンを念頭に置いているが、フィリピンには7,000の島があり、それぞれの島にはディーゼル発電機が1台しかなく、もう一つの電源とともに、水も供給して欲しいとの要求がある。各集落には水のタンクを設置し、可動式の浄水器で水を供給する。電源がなければ電源車を持っていく。浄水器も電源車も幾つかの集落に1セットあればいいので安い。公的予算は、採択される倍率が10倍ぐらいの倍率で、なかなか当たらないが、今後も、めげずに提案しゆく。

5.国境を越えた電力供給インフラストラクチャー

(1)欧州におけるスーパーグリッド構想

構想は昔からあったが、最近急に動きが出てきた。イギリス沿岸の北海は遠浅なので洋上風力を見渡す限り設置できる。余剰電力は水の豊富なノルウェーに送り、揚水式のようになっている水力発電所で水を汲み揚げておき、イギリスで電力が不足するときに供給を受ける。国際間電力融通で、スマートグリッドに対抗してスーパーグリッドと名付けている。

バッファーに使われるノルウェーが渋っていたが、2010年に参加して10か国の参加となった。ヨーロッパ風力協会が種々の案を出しており、北海スーパーグリッドが10年以内にできてくる。

(2)ローマクラブによるDESERTEC構想

2050年頃の完成を目指して保険会社やABBなどが参加する、45兆円のプロジェクトである。北アフリカの砂漠地帯に集熱型の太陽熱発電所を設置する。太陽光発電は高く、砂漠には向いていないので入れない。スペイン=モロッコ間、アルジェリア=スペイン間、チュニジア=イタリア間が高圧直流ケーブルで繋がった。一度に全てを作るのではなく、今ある電源を補強し、着実に進めている。

この構想は技術的に検証されている。北アフリカや中東の砂漠には太陽熱発電、イギリスなどの北ヨーロッパには風力発電、日照の多いスペインなどには太陽光発電、アルプスなどには水力発電、農耕地帯はバイオマス発電、イタリアには地熱発電が向いている。再生可能エネルギーが散らばっており、個別には効率が悪いが、これらを繋げればメリットがある。技術的には完成しており、採算性もあると判断され、動き出した。

日本に近いところにもサハラ砂漠、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠などがある。集熱方法として、トラフ型、フレネル型、パラボラ型、タワー型があるが、タワー型が一番多く作られており、採算性があると言われている。

(3)日本関連のスーパーグリッド構想

① ジャパン スーパーグリッド構想

孫正義氏と未来の党の代表代行になった飯田哲也氏が提唱している。50Hz60Hzの問題があり、連系線を強化しようとせず、分割するかなどと言わずに、2,000kmを超高圧の直流海底ケーブルか地下ケーブルで結ぶ。投資額は2兆円で、電力では大したお金ではない。これが出来上がれば、次は国際連系となる。

   アジア スーパーグリッド構想

日本創成会議の増田座長(東大大学院客員教授、元総務相)は相当話が進んでおり、今年にも着工と言っているが、実際には進んでいない。孤立している日本の電力網を韓国およびウラジオストクと繋ぐ提案である。過去に韓国から繋ぐ提案があったが、袖にした経緯がある。今になって九州電力が足りないから繋ぎたいとしても、韓国は原発が沢山あって余裕があると言われ、対等でないと実現は難しい。

しかし、決して夢物語ではない。日本と近隣諸国とのkWh当たりの電気料金を較べると、日本は20円、韓国は政策的に6円、上海は12円、台北は10円、東南アジアは3円なので、価格差があればマーケットとして成立する可能性がある。カントリーリスクはあるが、一方は電気を高く売れ、他方は安い電気が安定的に手に入る。また、インドぐらいまで入ると時差が3時間ないし4時間あり、ピークの5時間が10時間も続くことになる。したがって、設備の余裕が出るか、設備の稼働率が上がる。

(4)ASEANパワーグリッド(APG)構想

実際に動き出している。ASEANの対岸が見えるぐらいに近い国同士を繋いでおり、将来的には全てを繋ぐ。ASEAN諸国間で電力の国際融通を図るとともに電力を通して国際的な融和を図ろうとするものである。したがって中国とは繋がない。

(5)スマートグリッドの技術実証と国際展開

日本は環境技術が優れている。ニューメキシコでは日本の一流メーカが行ってロスアラモスの辺りに作っている。ハワイの離島プロジェクトも日本が技術的に提供している。インドでも鳩山首相がエコタウンを作ることを約束してきた。アフリカでは電気と水を供給する。日本の技術が国際基準を守りながら、パーツではなく直ぐに電気が出るような設備をパッケージとして持って行くことが重要である。

Q&A

Q1: 原子力のコストの5.3/kWhは、どこまで入っているか?

A1: 電力中央研究所が震災前に計算し、政府の審議会に出されて認められたもので、最後のバックエンドまで入っている。飯田哲也氏は六ヶ所村の費用等を入れれば3倍ぐらいになると言っているが、数字は出てこない。電力系統屋としては、原子力は健全に動かせるものは30年とか40年動かし、その後に廃炉にするか、新設するかを決めれば良いと考えている。今あるものを止めるのは、国民経済的に良くないし、その結果を考えて言っているのか疑問である。再生可能エネルギーがあると言うが、太陽光は10年間運転しても、パネルを作るために使った電気の0.98倍しか電気を生み出せない。風力は2.7倍、原子力は17倍で、原子力は電気を生み出す力では圧倒的に優れている。何故日本だけが太陽光、太陽光と言うのか不思議である。太陽光は電気を生み出せず、非常に高い。太陽光を入れた結果、3か月で87円電気代が上がり、1年経てば200円ぐらい、5年経てば1,000円以上上がると考えられる。ドイツは6,000円上がったときに猛反対が起こった。

Q2: 日本のコージェネレーションの熱利用は上手くないとのことであるが、どうすれば良いか?

A2: 時間がきたので説明しなかったが、日本は熱の使い方が下手である。コージェネレーションを設置すると電気主体で、熱供給システムが完備していないからである。スマートコミニュティの50%を占めるのは熱であるが、まだ有効利用していない熱がある。熱は輸送が大変であるので、発生する近くで需要がなければならないという場所的な問題もある。電気と異なり熱は蓄えることができるので、それを上手く使うことである。再生可能エネルギーでは、河川熱や下水熱や地中熱などの温度差を利用する。雪氷熱は冬貯めて夏冷房用に使う。中国では太陽熱利用が進んでいるが、日本は太陽熱の利用が下手である。天津エコシティでは石炭によるコージェネレーションを行っているが、地下のヒートポンプや下水の熱を利用する。ミュンヘン市では蒸気を配管していたが、効率が悪いので温水に切り換えた。

Q3: 古河電工およびビスキャスはスーパーグリッドでビジネスをしたいと考えている。ヨーロッパではディベロッパーがプロジェクトを作り上げ、交直変換技術、海底線、系統制御がパッケージとして発注されるが、世界的にも開発済みの技術であるものの、日本のメーカはパッケージの技術がないため対応できない。ASEANパワーグリッドにおいても韓国と中国が脅威である。韓国は国を挙げて済州島のプロジェクトでパッケージの技術を開発しようとしている。中国はパッケージ発注に対応できるABBがコントロールしている。日本はバラバラでプロジェクトまたは体制がない。このままでは韓国と中国が入ってきて、日本の地位を確保できなくなるので、ご指導を戴きたい。

A3: 大きいプロジェクトには大きいメーカが組んでいかないと駄目である。韓国のように大統領がセールスマンをしている国と較べると日本は弱い。そうこうしている間に日本は蚊帳の外で、モンゴルから全て繋がってしまう可能もある。日本は要素技術的は進んでいるが、システム技術が劣る。先進国でパイプラインのないのは日本だけであるというようにならないようにしなければならない。

コメント(本件に関する聴講者からの意見)

○ 韓国は全てトップダウンで、政府も強く、機動的にやり易い状況である。二つの心配をしている。一つは今話のあったことで、もう一つは電力会社に優秀な人が入ってくるかである。今の話と全く同じ構造の問題で、各人がバラバラに動いている。原子力で不遜な事故を起こしたが、決められたことはできても万一の対応が不十分であった。こういう問題を直してやろうとする気概を持つように若者が教育されていない。しかし若者の中にも素晴らしい才能を持った人もいる。そういう人を国が拾い出すべきである。ところが、国とか上から仕掛けができない国に成り下がっている。大きいプロジェクトへの取り組みを国の考え方や国民の考え方を変えるための切っ掛けにする。日本は上からくるのは駄目で、下から積み上げればマスコミも取り上げ、政府も政治家も動く逆さまの国になった。東京電力の研究開発費はゼロにしろと言われ、今の問題に対して東京電力が中心で動ける状態でない。あらゆる点で日本は優れた技術を持っているが、纏めて力とならない。

先生の話を聞いていると、大分活性化しているように感じる。今のような話を実現するには、補助金の取り合いではなく、研究所を作ってじっくりやるべきである。小型でもいいので設備を作って国民を納得させるようなことをしなければ駄目ではないか。役所ではなく、実業界の人が中心となってボランティアでやるべきである。OBを集めてやるか。

大プロジェクトが動くのに、指をくわえているだけで良いか、問題提起して大いに騒ぎたい。

○ 沖縄の三島でネットワークを作り、要素技術を開発するような計画があった。最初の段階をバックアップしてくれれば、日本のメーカはコマーシャルベースでやっていける。実規模レベルで使った実績がないと、海外に売り込むこともできない。

○ 自分で有志を集めて進めないと駄目ではないか。


(記録: 池田)